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服装・飾りやアイテムの意味

ひな人形

雛人形や五月人形が
果たす役割とその意味

雛人形と五月人形は、日本の伝統的なお節句飾りとして、
単なる装飾品以上の深い意味と役割を持っています。
これらのお人形は、子供たちの健やかな成長を願い、
災厄から守るための大切な存在として、古くから日本の家庭で飾られてきました。
それぞれの時代背景や文化的な意味合いを伝えながら、
家族の絆を深める象徴としての役割を果たしています。
お人形一体一体には、子供への愛情や未来への希望が込められており、
世代を超えて受け継がれることで、家族の歴史と記憶を繋ぐ役割も担っています。

束帯

束帯(そくたい)は、お雛様に向かって右側に飾られるお内裏様が身につけている、
平安時代の貴族男性の最も正式な装束です。
黒色の袍(ほう)を中心に、笏(しゃく)や冠(かんむり)、太刀(たち)などを身につけ、
威厳に満ちた姿は、宮中における最高の位を表しています。
この束帯姿には、女の子の将来の伴侶となる男性への尊敬と、
末永い幸せな結婚への願いが込められています。

十二単

十二単(じゅうにひとえ)は、お雛様が身につけている、
平安時代の貴族女性の最も格式高い装束です。
鮮やかな色彩の絹の衣を何枚も重ねており、
その優雅で華やかな姿は宮廷の美しさを象徴しています。
十二単の色合いや重ね方には、季節の移ろいや自然の美しさが表現されており、
お雛様の美しさを際立たせるとともに、女の子の美しく健やかな成長を願う親心を表しています。

おおすべらかし(髪型)

おおすべらかしは、お雛様の代表的な髪型で、
長く豊かな黒髪を左右に大きく広げたスタイルです。
これは、平安時代の高貴な女性たちの髪型に由来し、
その優美な姿は、お雛様の格調高さを表しています。
黒髪は古来より女性の美しさの象徴とされ、
おおすべらかしには、お雛様の美しさが末永く保たれるようにとの願いが込められています。

菱餅

菱餅(ひしもち)は、雛祭りに飾られる菱形の餅で、
一般的に下から緑、白、ピンクの三色が重ねられています。
この三色にはそれぞれ意味があり、緑は新緑の芽吹きによる生命力、
白は雪解けの清らかさ、ピンクは桃の花の華やかさを表しています。
また、菱形は心臓の形に似ていることから、健康長寿の願いが込められているという説や、
悪霊を祓う力があるとされる菱の実の形を模しているという説もあります。

三宝

三宝(さんぽう)は、お雛様の前や左右に置かれる、神様や貴人に物を献上する際に使用する台です。
雛祭りにおいては、白酒や菱餅、雛あられなどのお供え物を載せるために用いられます。
三宝に供物を載せることは、お雛様を敬い、お祝いの気持ちを表すとともに、
子供たちの健やかな成長を神様に祈願する意味が込められています。

ぼんぼり

ぼんぼりは、雛壇の両脇に飾られる、灯りをともすための道具です。
その柔らかな光は、お雛様を優しく照らし出し、お祝いの場を華やかに演出します。
ぼんぼりは、かつての婚礼の際に用いられた灯りを模しているとも言われ、
お雛様の嫁入りを祝福する意味合いや、将来の明るい幸せを願う気持ちが込められています。

両脇(桜…橘)

雛壇のお内裏様とお雛様の左右には、
通常、向かって左に桜、右に橘の木が飾られます。
これは、京都御所の紫宸殿(ししんでん)にある庭木、
「左近の桜」「右近の橘」に由来しています。
紫宸殿は、天皇が重要な儀式を行う最も格式高い場所であり、
桜と橘は、その神聖な空間を象徴する存在です。
雛人形の左右に飾ることで、宮中の雅やかさを表現し、
お雛様の高貴さを際立たせるとともに、末永い繁栄を願う意味が込められています。
地域によっては、紅白の梅を飾る場合もあります。

五月人形

五月人形

五月人形は、男の子の成長と健康を願い、
災厄から守るための大切な飾り物です。
鎧や兜、武者人形など、種類によって意味合いが異なりますが、
共通して男の子のたくましい成長と将来の成功を祈る親心が込められています。

鎧飾り

鎧飾りは、武士の象徴である鎧を模したもので、
男の子の体を守り、強くたくましく成長するようにとの願いが込められています。
兜飾りは、頭部を守るための兜を飾り、知恵と勇気を授かるようにとの願いが込められています。
武者人形は、歴史上の有名な武将や英雄を模したもので、
男の子が彼らのように立派な人物になるようにとの願いが込められています。

両旗飾り

五月人形の左右に立てられる旗飾りは、
男の子の誕生を祝い、その家の繁栄を願うものです。
一般的には、武者絵が描かれた幟旗や、家紋入りの旗などが用いられます。
武者絵には、金太郎や桃太郎といった子供に人気の英雄や、
源義経や武田信玄などの有名な武将が描かれ、子供たちが彼らの勇気や力強さにあやかり、
立派に成長するようにとの願いが込められています。
家紋入りの旗は、その家系の象徴であり、先祖代々受け継がれてきた誇りを示すとともに、家の繁栄を祈る意味合いがあります。
旗が風になびく様子は、勢いがあり、魔除けの意味もあるとされています。

鯉のぼり

鯉のぼりは、端午の節句に男の子の立身出世を願って飾られる日本の風習です。
中国の故事に由来し、黄河を遡り、竜門という滝を登りきった鯉は龍になると言われています。
この故事から、鯉は困難を乗り越えて成功する象徴とされ、
鯉のぼりを飾ることで、子供がどんな困難にも負けず、強くたくましく成長し、
将来、社会で大きく飛躍するようにとの願いが込められています。
風を受けて空を泳ぐ鯉のぼりの姿は、生命力にあふれ、見る人に勇気を与えます。

屏風

五月人形の後ろに立てられる屏風は、人形飾りをより荘厳に見せるためのものです。
金箔や美しい絵柄が描かれたものが多く、飾りの背景として、人形の存在感を際立たせる役割を果たします。
屏風の絵柄には、龍や虎といった力強い動物や、松竹梅などの縁起の良いものが選ばれることが多く、
子供の成長と家の繁栄を願う意味合いが込められています。
また、屏風は、人形飾りを一つの独立した空間として演出し、格式を高める効果もあります。

弓太刀 8号

弓太刀(ゆみたち)は、五月人形の脇に飾られる弓と太刀のセットです。
実際に武器として使用するものではなく、飾り物としての意味合いが強く、魔除けや厄払いの象徴とされています。
弓で邪気を払い、太刀で悪を斬るという意味があり、
子供を災厄から守り、健やかに成長させるための願いが込められています。
8号というサイズは、人形飾りの大きさに合わせて選ばれる一般的なサイズを示しています。

お飾り台

お飾り台は、五月人形を飾るための台です。
段飾りと呼ばれる階段状のものや、平飾りと呼ばれる台座など、様々な種類があります。
お飾り台は、人形や道具を引き立てる役割を持つだけでなく、空間に奥行きや格式を与える効果もあります。
素材や塗りにもこだわりが見られ、日本の伝統工芸の技術が活かされています。
お飾り台の種類や配置によって、人形飾りの印象が大きく変わるため、
飾る場所や人形の大きさに合わせて選ぶことが大切です。

このサイトでは、日本の伝統文化である雛人形と五月人形の歴史や意味、飾り方、選び方など、様々な情報をご紹介してまいりました。
古くから受け継がれてきたお節句の文化は、お子様の健やかな成長を願い、家族の絆を深める大切な機会です。美しい人形飾りを通して、日本の豊かな文化に触れ、次世代へと伝えていくこと。それは、私たち大人の大切な役割でもあります。
この情報が、皆様の素敵なお節句のお祝いの参考となり、お子様の笑顔あふれる未来を彩る一助となれば幸いです。